特殊詐欺、次に狙われるのは貴方かも-1-

第39話

もうここまで来ると意図的に私の発言権を剥奪しているようにしか思えない。

そして昴晴先輩の『自業自得な美脚切り抜き全集紛失事件』よりも遥かに『雷知先輩の妹が人気天才子役事件』の方が私にとっては優位に立っている。

「今日は新入会員の時雨ちゃんが初めて性吐会活動に参加する素晴らしい日なんだよ、そんな華々しい時雨ちゃんの門出を僕は崩壊させたくないんだ。」

「私を騙しておいて、華々しい門出も糞もないですよ。」

それっぽい事を言っているけれど、もう騙されやしない。

不貞腐れて昴晴先輩の顔を一瞥すれば、相手はきょとんとした顔を浮かべて首を捻った。

「時雨ちゃんが勝手に騙されたんだよ？」

鉄拳を喰らわしてやろうかしら。

絶対に最初から私を詐欺に引っ掛ける気だったはずなのに、あくまでも自分は無罪だと主張しているあの端麗な顔がやけに腹立たしい。

「それに時雨ちゃんはこの性吐会に所属する運命だったんだから仕方がないよ。」

「運命？そういえば最初に会った時にもそんな事を言ってましたね、一体どういう意味なんで……「御機嫌よう。」」

次から次へとここの人間は私の発言権を抹殺したいらしい。

怪訝な表情で投げかけた質問は、第三者の登場によって掻き消された。