第38話

聞き捨てならない爆弾発言が飛び出した気がするのだけれど、いよいよ私の耳が故障したのだろうか。


はたまた雷知先輩の妄想癖が暴走した末路の言葉なのだろうか。この人の為人ひととなりをまだ把握できていないが、雷知先輩なら有り得る症状だ。




「え?その子、雷知先輩の妹さんなんですか?」


「そだよー。」



実にあっさりと軽率な返事が言い渡された。


その際の私は比喩などではなく、本当に顎が外れる勢いで口を開いて唖然。




幼女趣味というだけでも逮捕案件だというのに、更にはシスターコンプレックスだなんて、神様はこの人を見捨て過ぎではないか。


雷知先輩だって人間なのだ、もう少しまともな人格を形成してくれても良かったのではないか。




「ま、うち両親が方向性の違いで解散してるから妹とは離れ離れの生活だけどねん。」




家庭の事情をバンドみたいに言うんじゃないよ。


こんな性癖の息子がいれば方向性の相違は生じるに決まっている。




人気子役が雷知先輩の妹。その事実を追究したい欲求に駆られた私が口を開いたと同時に。




「ねぇ二人共、会長の僕が絶体絶命の危機に瀕しているんだよ?家族構成の話をせずに少しは知恵を貸しなよ。」




またも昴晴先輩が邪魔をしてくれた。

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