第36話

あらりんも去ることながら、一番気になったのは「美脚切り抜き全集」というスーパーパワーワード。


この存在からしていかがわしい性吐会と、あっけらかんと己の特殊な性癖を暴露する美形二人を知ってしまった私は、すぐに悟った。




まだ見ぬ残りの会員二人の内の一人の性癖が、恐らく脚なのだろうと。


これは由々しき事態である。まだ恋人すらできた経験のない私の思考が、すっかり性吐会に慣れ始めているのだ。





「どうしよう、美しいおっぱい様に夢中になり過ぎていたよ。」




視聴覚室に訪れた瞬間からずっと疑問に思っていたのだけれど、おっぱい様以外に呼称の種類はないのだろうか。


十分に理解した。貴方がこよなく巨乳を愛している事実は忘れたくても忘れられないであろう。



知らぬが仏という言葉は実に言い得て妙である。




非常に明瞭に取り乱している昴晴先輩は、視線を泳がせながら手を顎に添えて思考を巡らせた様子を見せた後、名案を閃いたのか瞳を輝かせた。




「こうしよう!あられが来た途端首を絞めて意識を奪うんだよ、勿論殺さない程度に。」




ポンっと握り拳と掌とを衝突させて音を鳴らしたその人の放った作戦に、戦慄が駆け巡った。

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