第31話
黙っていてもこの人から溢れて駄々洩れしている謎の信頼感。
ただでさえ王子様の様な顔立ちをしているのに、そこに風貌の清楚感と、穏やかな声、優しい表情、上品な仕草が付け加えられているのだ。
だから…だから……この人ならば信用に値すると本能が誤った判断を下してしまったのだ。
まさか化けの皮を被っていたなんて。
この詐欺師に騙されない人間がいるのならば、見てみたいものである。
「しーたん、さっきから俺と昴晴の顔ばっかり見てどうしたのん?もしかして惚れちゃったとか?」
にんまりと頬を緩ませ、私の視線を奪った雷知先輩の甘ったるい声が耳を突く。
惚れる訳があるまい。こんな巨乳好きと幼女趣味を堂々と曝け出している変態二人……容姿に恵まれていなければ恐らく社会的地位すらないぞ。
「それとも俺の顔に何か付いてる?」
首を傾げて微笑む。たったそれだけなのに、美しい。意味が分からない。本当に私と同じ人間なのだろうか。
敢えて言うならば、人の目を惹きつけてしまう魔法が付いていると思う。
それは雷知先輩に限らず、昴晴先輩にも言える事だ。
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