第30話

性吐会などという不埒な組織すら理解できていないのに、先程からポンポンポンポン飛び出してくる名前の数々に当然脳が追いつくはずもない。


最新MacBookを駆使したとて、処理が追いつかない事であろう。



する事もなく、会話に入る事も不可能と判断した私は、煙草を指に挟んだまま、まだ火を灯さない雷知先輩を無意識に眺めていた。



派手な髪の色。耳の軟骨に輝いているハートを模したピアス。第二ボタンまでちゃんと開放されたシャツから覗く、こちらもハート型のネックレス。


さっきちらりと拝見した限り、ベルトもGUCCIだった。



上から下までチャラい雷知先輩は、いくら自由な校風のこの高校でも異端児でしかないと思う。




その一方で、上から下まで清楚感を垂れ流しているのが昴晴先輩である。


髪だって派手とまではいかないけれど、しっかりお洒落な色に染められているし、ピアスは左耳に一つだけ。


ボタンは第一まで閉められていて、ネクタイも綺麗に結ばれてある。




しかしながら私からすれば、その昴晴先輩の風貌こそが悪に見えて仕方がない。

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