第23話

「なるほど!時雨ちゃんはどうやら大きな誤解をしているようだね。」


「ご、誤解!?!?」




驚く私を他所に立ち上がった昴晴先輩は、近くにあったホワイトボードに文字をスラスラと書き始めた。


その筆跡は、顔色の悪かった担任から受け取った招待状の中に記されていた文の筆跡と同様だった。





キュッキュッ



先輩が文字を書く音が、静かな視聴覚室に溶ける。



最後にホワイトボードに書いた一文を鍵括弧で閉じた相手は、マーカーのキャップを閉めてそれを指の上で回転させた。





「それじゃあ誤解をしている時雨ちゃんに説明するね。」




私と昴晴先輩の目が合う。


やはりこの人は、とても綺麗だ。永遠も約束もないけれどとても綺麗だ。




モカブラウンに染められている横髪を耳に掛け、美しい輪郭を露わにさせた昴晴先輩はホワイトボードの文字を指さして開口した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る