第16話
「きゃっ。」
「おっと、大丈夫~?」
崩れ落ちそうになった体が誰かに受け止められたかと思った刹那、降り注いできたのはやけに軽い口調に乗った言葉。
視線が声の持ち主を探すよりも先に、私の視界には桜色の髪の毛が映り込んだ。
「お、めちゃくちゃ可愛い子ちゃんじゃーん。平気?怪我してない感じ~?」
「あ、え、えっと…はい、怪我してない感じです。」
私の顔を覗き込む艶やかな顔。
桜色に髪を染めていても何の違和感も働いていない顔立ちをしているその人は、更にぐっと距離を縮めてくる。
「本当かなぁ。どれどれ、可愛い顔に傷が入っていないか俺によーく見せて~?」
助けて貰って言うのも何だけど随分チャラい。何処のホストだ。名前はローランドか。
クリーム色のカーディガンの袖口から伸びる細い指先が、私の頬をそっと撫でた。
因みにこの男、抜かりなく萌え袖である。
「うんうん、怪我はないね!可愛い顔が尚更可愛く見えただけだった!!!」
バチコンと効果音を付けたくなる見事なウィンクが投げられる。
ファンサの神か?別にこの人のファンじゃないけど。
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