第56話

星利side5


「・・・やっぱり、あいつが好きだ」

気がつけばそう口から出ていた。

「海救主として戦い、苦しみながらも立ち向かう勇ましい姿も。花のように笑う姿も。

自分よりも仲間を優先してしまう、その自己犠牲なところも」

ポロポロとあいつへの想いが溢れていく。

「あいつがひとりで抱える苦しみを、すこしでもいいから俺も背負いたい。背負って、あいつを守りたい」

「・・・なるほど。だからザクラにあんなこと言っていたんだね」

「あんなこと?」

「ザクラちゃんが助けに来た時の話よ。

『俺らはお前を守れるように強くなる』って」

「あ、ああ。あれか。---悪いな、勝手にそう言っちまって」

『俺ら』というよりも、あれは俺個人の言葉だった。仲間たちはどう思っているのだろうか。

「いいんだ。俺らも力不足なのは痛いほど分かっているから。むしろお前にありがとうと言いたいよ。

あれはお前だけの言葉じゃない、俺の言葉でもある」

「私たちの言葉でもあるのよ、ね?」

そう言って姉貴は水神を見る。

「はい!」

水神もどうやら本心らしい。

「私たちは、星利くんたちみたいに力はない。でも、できるだけのことはさせて?」

「怪我の手当てとかね。それならプロだから」

「・・・ありがとう」

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