第49話

「このっ!」

翌日、ザクラが落ち込んでいるなか、ウィーン・ウォンドの手下がザクラたちの船に襲いかかっていた。

仲間たちは必死に戦うも、敵はなかなか手強い。

「うわっ!?」

前線で戦っていた、北斗が敵の一撃を受け倒れる。

「北斗!」

傷だらけになっている星利は悔しそうに、敵を見る。

「どうした、どうした!こんなもんかよ!?」

---何度も何度も攻撃をしているはずなのに、傷ひとつない。

「ちっくしょう!調子に乗りやがって!」

---くっそ!春風がいればなんとか倒せるのに!

でも、今のあいつでは・・・。

「さて、トドメを打たせてもらおうか!」

敵は、今までの攻撃よりもはるかに強い一撃を星利たちにうつ。

---やばい!

星利たちは目を瞑り、身を守る。

と、その時。

「陣!!」

「ぐはっ!?」

久しぶりに聞いたその声と同時に敵が攻撃されていた。

「え?」

恐る恐る目を開けてみれば、海救主の陣の向こうに、海救主の姿になったザクラの背中があった。

「春風・・・!」

「よ、ようやく現れたな、海救主!お前が来るのを待っておったのだよ」

「それはどうも」

ザクラはしれっと答える。

「さて、イルカ国のティアラはどこにある!?

貴様が持っているのは知っている」

「知っているということは、あんた、ウィ-ン・ウォンドの手先ね」

そう言った瞬間、ザクラは陣を再び敵にぶん投げた。

「ぐはっ!ひ、卑怯ではないか!」

「は?卑怯ですって?」

ザクラは冷ややかに敵を見る。

「私がいないことをいいことに、無防備な船を襲っておいて、卑怯だなんてよく言えるね?」

「なっ!?」

「あ-、そう思うと腹が立ってきたわ」

「あ」

---こいつ、終わったな。

共に旅をしてきた仲間たちは、ザクラがこれから何をしようとしているのかがわかった。

「お前も、お前の上司であるウィ-ン・ウォンドも。腹が立って敵わんわ!」

そう叫んだザクラは、陣を立て続けに敵に当て始める。

「なっ、ぐはっ!」

敵に休む隙を与えず、一方的に攻撃をするザクラ。

「うっわあ、容赦ねえな」

それを見て仲間たちは、少し引いていた。

一方で、蘭の死後から見ていなかった、『鬼姫 ザクラ』ぶりを見て、少し嬉しくもあった。

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