第50話

ザクラの一方的な攻撃により敵は倒され、仲間たちはなんとか助かった。

「みんな・・・ごめん!」

海救主の姿を解いたザクラは、仲間たちに頭を下げた。

「ずっと塞ぎこんでいて心配をさせたし、迷惑もかけた」

「そんな、迷惑だなんて・・・」

「いや、もっと早くに立ち直れていたら、今だって、みんな怪我せずに済んだろうし」

「確かにそうだが、今のことは俺らの力不足でもある」

「ザクラちゃんは確かに強い。

だけど、俺らを守ってばかりじゃザクラちゃんが保たないよ?」

「言っただろ?『俺らはお前を守れるように強くなる』って」

「うん・・・」

ザクラは頭を上げる。

「塞ぎこんでいる間、今までの旅を思い返していて改めて思ったことがある。

私は、世界を救う海救主であること。

私の背中にはたくさんの命と願いが託されていたこと。

あまりにも重い、そう思った。

個人的な恨みもある。だけど、そんなドス黒い気持ちでは世界は救えない。だから、私---」

ザクラはそう言って仲間たちから少し離れ、デッキの上に座った。

そして、秘剣を鞘から抜く。

「ちょ、何する気!?」

星利たちは慌てる。

ザクラはその言葉を聞かず、後ろで結んだポニーテ-ルに刃を当てた。

「なっ!?」

ざくっと、小気味よい音がしてザクラの頭から長い黒髪の束が落ちた。

「ザクラっ!」

仲間たちは目を見開く。

仲間たちの唖然とした表情とは逆に、ボブになったザクラの顔は凛々しい。

「私、もっと強くなる。強くなって、世界を絶対に救う。もう、誰も泣かせはしない」

「春風・・・」

「ザクラ・・・」

久しぶりに見る、凛としたザクラの決意を秘めた瞳。

それは、ザクラを心配していた仲間たちを安堵させるのに十分だった。

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