第44話

星利side

いまいち寝つけなくて、リビングへ向かっていた。

すると、勢いよく部屋を飛び出す春風を見かけた。

「50代目!」

春風を慌てた様子で追いかけるマルリトスの姿も見かけた。

マルリトスの慌てた様子と、ここ数日に春風に起きた事情が気にかかり、俺もデッキへ向かう。

デッキへ出たあいつは、海宝石のペンダントと、赤い石のペンダントのようなものを海に投げ入れようとしていた。

---な、なにやってんだ、あいつは!!

俺は思わず駆け出そうとした。

だが、マルリトスに諭され、春風は思い留まった。

少しホッとしたが、あいつは泣き崩れはじめ、空から雨が降ってきた。

1人にしてほしいと言われたのか、マルリトスはため息をこぼしながらこちらへやってきた。

「おや、星見の王ではないか」

「おう。---春風、帰らないのか?」

雨は勢いを増していく。

「放って欲しいってな。でも、わしは見守ることができる場所から、あいつを見る」

「そうか」

「なあ、春風に何があった?」

少し迷ったが、マルリトスに事情を尋ねた。

「実はな・・・」

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