第40話

お粥のおかげか、ザクラの怪我はみるみる回復し、もう歩けるまでになった。

だが蘭を失った悲しみは根深く、ザクラの心はまだ回復できずにいた。

相変わらず自分の部屋に籠り、凛としていた瞳は虚ろになっていた。

「50代目・・・」

すっかり日も暮れ夜となり、眠るザクラをマルリトスは見つめる。

---起きている時も、こう穏やかでいてほしいんだがな。

「・・・そうはいかぬか」

マルリトスはそう言ってザクラの側で丸くなる。

と、その時。

棚に放置されていた、あの赤い石のペンダントが光り出した。

「なっ!?」

マルリトスは慌てて起きる。

「っつう・・・」

赤い石の光はザクラの顔にダイレクトに当たり、ザクラは目を覚ました。

「・・・なに・・・?」

ザクラは目を擦ると、赤い石が光っていることに驚く。

「・・・え?」

ザクラとマルリトスが唖然としていると、光の中から、ひとりの女性の姿が現れた。

「・・・あなたは!?」

見覚えのある女性にザクラは目を見開いた。

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