第35話

「姉貴、春風は・・・?」

それから星香によるザクラへの処置が終わり、その間星利たちはリビングにいた。

星利たちは、星香に状況を訊ねた。

「とりあえず落ち着いたわ。でも、しばらく安静が必要ね」

星香はそう言ってソファーに座る。

「はい」

「怪我もそうだけど、過呼吸になったのは精神的ショックからね。

イルカの国のこと、蘭ちゃんのことで相当なダメ-ジを受けているから・・・」

「それにきっと、ザクラは蘭の事故をお母さんのことと重ねて見てしまっていると思います」

そう言いながら、鈴が星香にコ-ヒ-の入ったマグカップを渡す。

「ありがとう。---それもあるわね」

「とりあえず、しばらくそっとしてあげよう。

ザクラちゃん自身が吹っ切れるくらいになるまで」

「ああ」

「マルリトス、ザクラちゃんを見ていてあげてくれるか?

一応大丈夫だと思うが、今のザクラちゃんだと何をするか分からないから・・・」

「わかった」

「春風のことだから、むやみに自分の寿命を短くしたりはしないだろうけどな」

「ただ、気にかかるのはやはり、ウィ-ン・ウォンドの今後の動きだ。

海救主が吹っ切れるまでとは言ったが、果たしてそれまでに海救主が立ち直れるか?」

レオが難しそうにそう言うと、仲間たちは黙ってしまった。

「・・・とにかく、ザクラちゃんを待とう。

いいね?」

仲間たちはうなずくも、仲間を失った船内の空気は重くなっていた。

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