第34話
ザクラが目を覚ましたと聞いて、仲間たちはザクラの自室前に来ていた。
だが、ザクラが泣き叫ぶ声が聞こえ、仲間たちはそこで立ち止まった。
「春風・・・」
「ザクラちゃん・・・」
「ザクラ・・・」
「・・・しばしの間、そっとしておいた方がいいかもしれぬ」
「・・・そうだな」
そう言って仲間たちは、リビングへ帰ろうとした。
その時、ザクラの自室から大きな音がした。
「春風!?」
仲間たちは慌ててザクラの自室に入る。
そこには、痛む体を引きずって涙を流しながら、立ち上がろうとするザクラがいた。
「ちょ、何やってんの!?怪我しているのに!」
鈴に支えられなんとか立ち上がるザクラは、息も絶え絶えに外へ出ようとする。
「・・・蘭の遺体はどこにある?最期に会いたい」
そう言ったザクラに仲間たちは戸惑う。
「春風・・・」
仲間たちは目を合わせる。
そして深呼吸して、ザクラに真実を伝えることにした。
「ザクラ。落ち着いて聞いて?」
鈴はゆっくりとベッドの端にザクラを座らせる。
「・・・春風。言うのがすごく辛いんだが」
ザクラはじっと星利を見るが、その目は虚ろになっていた。
その目に見つめられ、星利は泣きそうになる。
「・・・蘭の遺体は---」
「・・・え・・・?」
ウィ-ン・ウォンドに、蘭の遺体を奪われたと知ったザクラは、目を見開いた。
「まさか、そんなわけ・・・」
「本当だ・・・」
「ごめん!ザクラちゃん!」
北斗はそう言って、土下座をした。
「蘭の遺体を守れなかった!」
北斗に続いて仲間たちも土下座をする。
「・・・ザクラ」
鈴は優しくザクラを抱きしめ、なだめる。
「ザクラ?」
だが、そんなザクラの様子がおかしいことに鈴が気づいた。
「ザクラ!?」
ザクラの呼吸が荒く、体全体が震えていた。
「星香さん!」
星香が慌ててザクラに近寄る。
「過呼吸だわ。---星利!」
「ああ!」
さすが姉弟というべきか。
星利はザクラの部屋を飛び出し、星香の部屋へ向かう。そして、星香が欲しいものを持ってきた。
「大丈夫。落ち着いて」
星香は優しくザクラを横に寝かせた。
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