第32話
「蘭・・・蘭・・・!!」
ザクラは生き絶えた蘭に顔をうずめ、泣き崩れる。
「おのれ、小娘が!邪魔しよって・・・!」
ウィ-ン・ウォンドが舌打ちをし、ザクラに再び刀を振りかざした。
だが、ウィ-ン・ウォンドの刀ははじき返された。
「なっ!?」
ウィ-ン・ウォンドは驚き、ザクラを見る。
「・・・また、大切な人が・・・」
そう呟くザクラの体から、どす黒いオ-ラが滲み出ていた。
「・・・ウィ-ン・ウォンド。お前を許さない」
そう静かに言ったザクラが顔を上げる。
その顔を見たウィ-ン・ウォンドはたじろいだ。
涙を湛えた瞳は気が狂った獣の如く鋭く、
憎しみの色に染まっていた。
ザクラはウィ-ン・ウォンドをにらみつけたまま、黒いオ-ラを縄のようにウィ-ン・ウォンドの首に締め付ける。
「ぐはっ!!」
苦しそうにウィ-ン・ウォンドは声を漏らす。
ザクラは蘭の遺体をそっと置くと、ウィ-ン・ウォンドに近づく。
「やめろ、50代目!」
マルリトスは阻止しようとザクラを呼び止める。だが、その必死な声はザクラには届かない。
「地獄に落ちろ!」
ザクラは秘剣を抜き、ウィ-ン・ウォンドに刺そうとした。
が、その背後から星利と北斗が現れ、ザクラの首元に手刀を当てた。
ザクラは気絶し倒れた。
「小娘かと思っていたら、化け狐であったか・・・」
解放されたウィ-ン・ウォンドは咳こみながら、蘭の遺体に目をやる。
「その力、俺の一部にしてやろう」
ウィ-ン・ウォンドは蘭の遺体に手のひらを向けた。
「やめろ。やめろ・・・!」
北斗たちは震えながらも、ウィ-ン・ウォンドを阻止しようとする。
だが、ウィ-ン・ウォンドはそれを弾き飛ばす。
「くっ・・・!」
「北斗!星利!」
倒れた2人へ星香たちが駆け寄る。
「蘭が・・・!」
蘭の遺体がウィ-ン・ウォンドの手のひらに吸い込まれていく。
何もできずにそれを見つめるしかない星利たちは悔しくて仕方がなかった。
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