第31話

大きく目を見開いたザクラは、何も言えない。

蘭はそんなザクラを振り返って見る。

「・・・大丈夫そうですね。良かった・・・」

口から血を流しながらも、綺麗に笑った蘭はそのまま崩れるようにして倒れた。

「・・・ら、蘭・・・」

震えながら、ザクラは蘭を抱きかかえた。

「ザクラ・・・さん。あの時・・・助けていただいてありがとうございました・・・」

ザクラは目を瞑り激しく首を横に振る。

「ごめん、蘭・・・!」

「謝らないでくださいよ・・・。私・・・幸せでしたから・・・」

そうザクラに微笑み、蘭は息絶えた。

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