第29話

「そうピリピリするなよ。俺は、イルカ国のティアラを取りに来ただけなんだから」

ウィ-ン・ウォンドは飄々とそう言った。

「誰があんたにティアラを渡すかよ!」

海救主に姿を変えながらザクラは怒鳴る。

「イルカのお姫様も馬鹿だよな。俺に大人しくティアラを渡しておけば、逃してやることもできたのに」

「陣!」

ザクラは陣をウィ-ン・ウォンドに叩きつける。

「おっと!」

が、ウィ-ン・ウォンドはそれをさらりと避ける。

「逃がす気なんてさらさらないくせに!

答えろ!なぜ、イルカの国を襲った!!」

「なぜかって?

イルカの国の海宝石を奪うため。あと、ティアラの海宝石もな」

「そのために、イルカの国の住人は死んでもいいというのか!」

「別に?」

さらりと答えたウィ-ン・ウォンドに、ザクラは絶句した。

「それに、自分のものを取り返しにきて何が悪い?」

「はっ!?」

海宝石がはるか昔、ウィ-ン・ウォンドの力の一部だったということを知らない仲間たちは驚く。

「海宝石はすでにお前のものではない!

たかが力のために、数多の命を殺めたやつなど

それを獲る資格もない!

だから、意地でもティアラは渡さない!」

すると、ウィ-ン・ウォンドは先ほどまでとは違い、さらに不気味さを増した。

「へぇ、それなら強行手段を取ってもいいんだ?」

ウィ-ン・ウォンドはザクラにグイッと近づいた。

ザクラは咄嗟に自分に陣をはり、バリアをする。

「ならば、くらえ!海救主!」

ウィ-ン・ウォンドはそう叫ぶとザクラたちに攻撃を始めた。

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