第26話

船は猛スピードで、イルカが現れた場所から離れていく。

船の操縦室に集まった仲間たちは、ザクラから事情を耳にした。

「イルカ国が!?」

「うん・・・」

ザクラは両手を額に当ててうつむいている。

「たぶんその時も、私は海の上にいた。デッキの上で修行をしていた。でも、そういうことが起きていただなんて・・・!」

ザクラはギリリと拳を握りしめる。

その力は悔しさのあまり爪が肉に食い込みそうだった。

「春風。とにかく今は逃げるしかない。

エメラルドがそう言っていたんだろう?手紙の中で」

ザクラは頷く。

「エメラルドはお前にティアラを託したんだ。

お前なら守ってくれると信じて。

それなら、そうするしかないじゃないか」

「・・・分かった」

ザクラは震えながらも自分の身をなんとか持ち堪えてみせた。

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