第3話 ティアラ
第25話
「しっかし、本当暑いわ」
その日、ザクラとマルリトスはいつもと変わらずデッキの上で修行をしていた。
「よし、50代目。昼間の修行はなしにしよう。わしも暑くてかなわん」
「よっしゃ!」
ザクラは喜び、ガッツポ-ズをとる。
と、その時。ザクラたちの後ろで大きな水しぶきが上がった。
ザクラたちは驚きながら後ろを振り向いた。
「海救主様!!」
そこには、一匹のイルカがいた。
だが、何故か様子がおかしい。
「どうしたの?」
ザクラはイルカに駆け寄る。
すると、イルカはザクラに何かを放り投げた。
「うわっ?!」
ザクラは慌ててそれを受け止める。
受け止めたものを見て、ザクラは目を見開いた。
「え?!これ、エメラルドのティアラじゃ?!」
イルカがザクラに渡したもの。それは、イルカ国の姫に伝わる、海宝石のはめられたティアラだった。
「なんでこれを!?」
すると、再びイルカはザクラに何かを渡した。
「手紙・・・?」
「大至急お読みになってください!
そして、早くここからお逃げくださいませ!」
「え!?それってどういう・・・」
ザクラがそう訊ねようとした瞬間、何かに引き込まれるようにイルカの姿が消えた。
「・・・え?」
「50代目!まずいぞ!」
手紙を読んでいたマルリトスがザクラを呼ぶ。
「あの男が・・・ウィ-ン・ウォンドが、
この近くにいるらしい!」
「え!?」
「海宝石のあるイルカ国が襲われ、海宝石が根こそぎ奪われたらしい。そして、ティアラの海宝石を50代目に託すと書いてある!」
「な・・・!?」
ウィ-ン・ウォンドが近くにいること、イルカ国が襲われたことに衝撃が走る。
「ウィ-ン・ウォンドは、ティアラの海宝石を狙っている。だから、自分に何があっても逃げてほしいって!」
「エメラルド・・・!!」
きっとこの手紙とティアラを臣下に預けたあと、エメラルドは殺された。
そう悟ったザクラは、悔しそうに口を閉じた。
だが、拳を握りしめ、北斗たちのもとへ勢いよく走り出した。
「北斗、緊急事態!今すぐ船をここから離して!」
「え!?どういうこと!?」
北斗たちはリビングでのんびりしていたが、ザクラの様子がおかしいことにすぐ気づいた。
「話している暇はない!早く!!」
「分かった!」
北斗たちは慌てて動き始めた。
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