第23話
「修行の調子はどう?」
「まあまあかな」
デッキ上の日陰になっているところで、3人と一匹はお茶を飲んでいた。
「それなら良かったわ」
「うん」
「春風、体調大丈夫か?
ここ数日、顔色悪かったように見えたけど」
「ああ、大丈夫になったよ。すっかり元気!」
「そうか。ならいいんだが」
星利はそう言ってお茶を口に運ぶ。
「いやあ、本当暑いよね。さすが赤道直下だけあるわ」
「ね-」
「50代目。お茶が終わったら、再び修行するぞ。
悪いが、今日は厳しめにいくからの」
「え-!?」
「ここ数日、おぬしが体調がイマイチで、軽いメニューばかりだったからのう。その分を巻き返すぞ」
「プラスマイナスゼロ-!?」
「むしろマイナス?」
ザクラに続けてそう言った鈴は、首をコテンと傾ける。
「まあ、そういうことじゃな。
さあ、修行を再開するぞ。ほれ、立たぬか!」
「ちょ、待ってよ!-鈴、星利。ごちそうさま!」
ザクラは慌てて修行を再開する。
「やれやれ。大変だな、うちの海救主様は」
「マルリトスも相変わらず鬼ねえ」
「ああ」
鈴はちらりと星利を見る。
星利の視線の先には、剣を振り回しながらマルリトスにギャンギャン言っているザクラが。
そんなザクラを星利は、愛おしくてたまらない、という目をして見ていた。
---うっわあ、ベタ惚れだわ、これは。
鈴は胸焼けをしそうな感覚に陥る。
---なんでこんな目で見られていることに気づかないのかなあ。あの子は。
ベタ甘な星利とそれに気づかないザクラを見て、今日の夕飯はとびっきり香辛料が効いたものにしようと決めた鈴であった。
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