第17話

「50代目、その木箱の中身が気になるか?」

「そりゃ、もちろん」

木箱の中身が気になるか、と尋ねたマルリトスが真剣な顔をしているのを見て、ザクラは少し困惑する。

「その木箱の中身は、とてつもなく大きな力を宿している。おぬしが肌身離さずもっている海宝石以上にな」

「え?どういうこと・・・?」

「気になるのなら開ければいい」

ザクラは訳が分からないまま、木箱の蓋を開けた。

「・・・ペンダント?」

小さな赤い石が1つついたペンダントがそこに入っていた。

「赤い石といえば、北斗の火焔石が思い浮かぶけど、それとはまた違うね。

炎の赤というより、なんか赤黒い色してる石ね。血みたいな?」

ザクラはじっとペンダントを見つめる。

すると、まるで心臓のようにドクン、と石が鼓動を打った。

「え?!」

ザクラは驚き、慌てて木箱にペンダントを戻した。

「ま、マルリトス!あれは一体!?」

「50代目。わしが今から話すことははるか昔のことで、本当にあった話じゃ。少々理解に苦しむかもしれないが良いな?」

慌てるザクラとは反対にマルリトスは冷静に、かつ真剣な眼差しだった。

「う、うん?」

「単刀直入に言う。その赤い石は、ウィ-ン・ウォンドの恋人の魂が封じられている。

そして、わしはその恋人の飼い猫だった」

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