第16話

「ねえ、マルリトス」

朝食後、自室で修行の準備をしていたザクラはマルリトスに尋ねた。

「なんじゃ?」

「朝起きた時から何を考えてんの?ずいぶん気難そうにしているけど」

「・・・だから、何もないと言っておろう」

「嘘つけ。何もないなら、その眉間のすごいシワができるわけないでしょうが」

と、その時。ザクラは、棚の下で木箱が落ちているのが目に入った。

「あれ、この木箱こんなところにあったっけ?」

「昨日の夜、おぬしが2回目に寝た時に落ちたんじゃよ」

「なるほど」

ザクラはそう言って木箱を拾い上げる。

「・・・そういえば、この木箱、中身見てないよね?」

「あ、ああ」

マルリトスはザクラの言葉を聞いて動揺する。

「・・・どうやら、マルリトスが考えてるのって、この木箱のことみたいね?」

マルリトスは考えを当てられ、ますます動揺の色を隠せなくなった。

マルリトスの脳内で、いつぞや鈴たちが『ザクラは獣並みに勘が鋭い』と言っていたことを思い出す。

---お見通しのようじゃの。

観念したマルリトスは、ため息をつくとザクラに話しはじめた。

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