第62話
それからずっと、ザクラは自室にて秘剣に力を流し込み続けていた。
順調に力を流し込み続けるザクラをマルリトスは満足そうに見ている。
---やはり、こいつは少しマスターすれのばなんとかモノにするタイプらしいのう。
少し前はくしゃみで集中を切らしていたというのに、今は少しのことも気にしていないようだ。
マルリトスはふと我に返り、ザクラの部屋の時計を見る。
「あ、もう昼か。50代目、そろそろ昼飯にしようかの?---50代目?」
「ごめん、まだ集中していたい。なんなら鈴におにぎりでも作ってもらって?」
「分かった」
マルリトスはそう言って、リビングに向かう。
「おい、水神の巫女---」
「うわっ!?」
マルリトスがリビングに入った瞬間、リビングで仲間たちが驚きの声をあげた。
「な、なんだ。マルリトスか」
「びっくりした・・・」
「いや、驚いたのはわしの方じゃ。なんじゃ、このリビングは?宴でもする気か?」
「じ、実は・・・」
鈴はマルリトスにザクラの誕生日祝いの計画を告白した。
「なんじゃ、50代目の誕生日祝いか!なるほど、だからこそこそとしておったのじゃな?」
「ば、バレてた・・・」
「誕生日祝いだとは知らなかったがの、なんか怪しいと思っていたんじゃ」
「ちなみにザクラちゃんには---」
「ああ大丈夫じゃ。多分バレてない」
「良かった!」
仲間たちは胸を撫で下ろす。
「というより、おそらくあやつ、今日が誕生日だということを忘れておるぞ」
「それはやり甲斐がありますね」
蘭がニヤリと悪戯っ子の表情になる。
「そんな大掛かりなことになっているのなら、
わしも協力しようかの」
「じゃあさ、夕飯まで春風をリビングに近寄らせないようにしてくれないか?」
「ああ、任せろ。
今な、50代目は自室で修行をしておるからの。おそらくまだやめないと思うぞ。での、水神の巫女」
「はい?」
「あやつ用に昼飯を用意できないかの?おにぎりで構わないってあいつは言っておったが」
「え、おにぎりでいいの?」
「ああ」
「分かった。ちょっと待っていて」
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