第57話
「それで、何の御用でしたかな?」
マルリトスとザクラはそれぞれ、男性が入れてくれた飲みものに舌鼓を打っていると、男性がそう言った。
ザクラは慌てて用件を思い出す。
「実は、本を整理していたら、このような手紙が入っていまして」
ザクラはカバンから、母からの手紙を取りだし、白髭の男性に見せる。
宛名の筆跡に見覚えがあるのだろう、男性は驚く。
「私宛てのものでしたので、封を解きました。すると、こんなことが書かれていたのです」
ザクラは母からの手紙に、この場所のことが書かれていたこと、そこに海救主の秘剣があり、それを取りに行くように書いてあったことを話す。
「確かに、菫から一本の剣を預かっています。
それが、『海救主の秘剣』であるかは分かりませんが。少しお待ちを」
「はい」
男性はそう言って、カウンターのすぐ隣にある扉をあけると姿を消した。
「お待たせいたしました。こちらが、菫から預かっていたものです」
2、3分経過した頃、白髭の男性は布に包まれた細長い箱と、小さな正方形の木箱を持って現れた。
「ありがとうございます」
「いえいえ。秘剣ではないと思いますが、そちらの木箱も菫が、あなたにと」
「これもですか?」
「はい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます