第2話 アミナス港にて

第52話

そして14日となり、ザクラたちはアミナス港に船を寄せた。

「よっと!」

そう言って陸へ降りたザクラの後ろで仲間たちは、ヒソヒソと話す。

マルリトスはそれを見て訝しげに首を傾げた。

「私、個人的な用事があるから、単独行動でもいい?」

ザクラがくるりと振り返ってそう言ったため、鈴たちは少し慌てた。

「大丈夫よ。マルリトス、ザクラを頼むわよ」

「ああ」

「ザクラ、15時までには帰ってきてね」

「ザクラさん、お気をつけて」

「何かあれば、式神飛ばしなよ、ザクラちゃん」

「春風」

「ん?」

「迷子になるなよ?」

「大丈夫よ、地図あるし。子どもじゃあるまいし」

「そっか。あと・・・。いや、何でもないわ」

そう言って、星利はすたすたと歩いていってしまった。

「あいつが迷子になるんじゃないのか?」

星利を見て、マルリトスが呟く。

「もう、『何でもない』って何?」

「やっぱり、銀の人魚の件から、星利さん過保護ですよね。ザクラさんに対して」

少し怒ったザクラの後ろで、蘭たちが再びひそひそと話をしていた。

マルリトスにもそれは聞こえたが、マルリトスは何も言わないことにした。

「じゃ、また後で」

「うん」

ザクラとマルリトス、鈴たちは船着き場で別れた。

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