第51話

「ねえ、北斗!」

リビングをバンと開ければ、そこにはびっくりした仲間たちがいて、慌てて何かを隠そうとした。

「ば、バカ!勢いよく扉開けんな!壊れたらどうするんだよ!」

そう言った星利は明らかに動揺している。が、今のザクラにはそれを見通す余裕はない。

「で、何の用?ザクラちゃん?」

「あのさ、近々港に寄る用事ないかな?」

それを聞いた仲間たちはギクリと固まる。

「港に?まあ、あるっちゃあるよ?」

「ちなみにどこに?」

「まぁ、ここから近いのは・・・」

北斗はそう言ってポケットから地図を広げる。

「アミナスという港かな」

---なんという奇遇なんだろう!

ザクラは思わずガッツポーズをとる。

「よっしゃ!」

「『よっしゃ』?」

ザクラの歓喜の声に北斗は首を傾げる。

「分かった!ありがとう!」

ザクラはそう礼を言うと、再び勢いよく扉を開けリビングを後にした。

「だから、扉を勢いよく開けるなって!」

星利は再び注意するも、ザクラはすでにいなかった。

「ったく・・・」

星利はため息をつき、慌てて隠した飾りを取り出す。

「あ-あ、慌てて隠したから、ぐちゃぐちゃになってるよ」

「星利、動揺しすぎよ。ザクラちゃん、今は気にしてなかったけど、危なかったわ」

「まあ、ザクラさんがあんな風に来るとは思わなかったですし。確かに危なかった・・・」

「にしてもザクラ、どうしたんだろうね。『港に寄ってほしい』だなんてさ」

「なんか用事あるんじゃないのか?春風が個人的に用事があって、単独行動するっていうのならこちらは有難いだろ?」

「まあね。でも気になるでしょ?ザクラの個人的な用事って」

しばし黙ったあと、星利はうなずいた。

「でしょうね」

その様子を見て他の仲間たちはニヤニヤと笑った。

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