第49話

翌日。仲間たちがそういう計画を立てているとは

知らず、ザクラは自室で本を整理していた。

「おぬし、本があり過ぎやしないか?」

ザクラの自室は7割ほど本で埋め尽くされており、『ザクラの自室』というより『本の部屋』と言ったほうが当たっていた。

「だから、こうして整理してるんだよ」

「・・・よく、今まで船で生活してきて無事だったな、おぬし」

「うるさい」

と、その時。一冊の本が棚から落ち、ザクラの頭上に落ちてきた。

「わっ!?陣!」

ザクラは慌てて陣で自分の頭を守った。

「も-、マルリトスがそんなこと言うからさ、落ちてきたじゃない」

「わしのせいかよ?!」

ザクラは陣を解き、手で本をキャッチした。

「うっわ、ホコリまみれじゃないか」

マルリトスはそう言ってくしゃみをする。

ザクラも咳をして本の表紙を確認する。

「こんな本、持ってきたかな?でも、一応仕舞うか」

「仕舞うのかい!」

ザクラがそれをスル-し、本を棚に戻そうとした時、マルリトスがあることに気がついた。

「おい、50代目。その本、なんか挟んであるぞ?」

「え?あ、本当だ」

ザクラは再び本を手元に戻した。

本には少し黄ばんだ封筒が挟んであり、ザクラはそれを引き抜いた。

封筒の宛名を見てザクラは驚く。

「え?」

「どうした、50代目」

「これ、私宛てだよ?」

「50代目にか?誰が?」

「さあ?」

ザクラは封筒を裏返し、差し出し人の名前を見る。

「春風 菫・・・お母さんの名前だ・・・」

「え、先代が?」

ほら、とザクラが封筒をマルリトスに見せる。

「なんで、本に先代から50代目宛ての手紙が挟んであるんだ」

何か大事な気持ちが込められている気がして、ザクラはゆっくりと、破かないように封筒の封を開けた。

中身はシンプルなもので、折りたたまれた紙が一、二枚入っているだけだった。

ザクラは首を傾げながら、一枚目の紙を広げる。

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