第48話

ごちそうさま、と昼食を食べ終えたザクラはリビングを後にする。

「ねえ、ちょっと北斗くん」

ザクラ以外のメンバーが揃っているのを確認し、鈴はそう話し出した。

「ん、どうしたの?」

「あのさ、急で申し訳ないんだけど、14日に近くの港に寄れないかしら?」

「え、別にいいけど・・・なんかあった?」

「実はね・・・」

鈴は、ザクラの誕生日が近いことをみんなに明かした。

「え、今月の15日ってザクラさんの誕生日なんですか!?」

「そうなの。桜が咲き誇る季節に産まれたから、『ザクラ』なんだってさ」

「なるほどな」

「って、15日だなんて、明後日じゃないの!

何も用意してないわよ?」

「私も急に思い出したものですから。すいません、星香さん」

鈴が頭を下げる。

「いやいや、いいのよ、頭なんか下げなくて」

「星香さんもおっしゃる通り、私も何も用意していません。そこで、14日に近くの港に寄って欲しい、と北斗くんにお願いしたのです」

「そういうことなら、寄らないとね」

「ありがとう、北斗くん」

鈴は嬉しそうに言った。

「で、港に寄ることは決定だとしてさ。どうする?どうせなら春風に内緒にするんだろ?」

「まあ、できればそうしたいんだけど、ザクラ相手に内緒にできるかしら」

「コソコソしていたり、いつもと違う感じだと一発でバレますよね」

獣並みに勘が強いザクラ相手に、この時点で仲間たちは困り果てていた。

「どうしよっか・・・」

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