第14章 桜の季節、キミの生まれた日

第1話 計画

第46話

「いいか、集中しろよ?集中して術具に力を流し込むんじゃ」

ザクラは、相変わらずマルリトスとデッキの上で修行をしていた。

ザクラは、デッキの上で坐禅をするような体勢で目を閉じ、皿のようになった両手には戦いの際に使う術具を乗せている。

「よしよし、良い感じじゃ」

ザクラの体から白い光が術具へ流れていく。

と、その時。

「ぶわっくしょ-い!!」

ザクラが盛大なくしゃみをした。

その拍子で、先ほどまで流れていた光がすっかり消えてしまっていた。

「あ-あ、良い感じじゃったのに。集中しているのならば、くしゃみぐらい止められるじゃろ?」

「いやいや、無理っしょ」

ザクラは鼻をすすりながら話す。

「くしゃみなんて、生理現象だよ?止められないし」

「それはお主の集中力が足りないからじゃないのか?」

「だから、それは---」

と、その時、またしてもザクラはくしゃみをした。

「・・・にしても、相変わらず女らしさの欠片もないのう。まるで中年の男みたいなくしゃみじゃな」

「『くしゅん』でするくしゃみだなんて気持ち良くないじゃん?」

「まぁ、分からなくはないがの」

マルリトスとザクラが話し込んでいるところへ誰かが声をかける。

「ザクラさ-ん、マルリトス!」

「蘭?」

「お昼ご飯にしましょうって、鈴さんが」

「ん、わかった」

「じゃ、続きは昼食後じゃ」

「うん」

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