第35話

「というわけで、この猫、海宝石の精でマルリトスといいます。以後お見知り置きを」

「よろしく」

「は、はぁ」

一夜明け、ザクラはマルリトスを仲間たちに紹介した。

「マルリトス・・・『海の宝石』?『海』がマル、リトスが『宝石』ってか?」

「その通りだ。よく分かったな、火創主」

「それはこちらのセリフでもあるな。よく俺が火創主だと分かったな」

「腕輪を見れば分かる。それに、俺は海宝石の中でずっと今までを見てきた。海救主のこともだが、この船内のなかのこともな」

マルリトスはざっとリビングに集まった仲間たちを見る。

「わしはこれから、海救主の力を増大させ、倒すべき敵を倒させるため、50人目の指南役を務める。協力を頼むぞ」

海宝石の精だということを除けば、ただただ年寄りのように喋る猫。それは確かにそうなのだが、言葉が重いせいかどことなく気迫があった。

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