第31話

「近過ぎたということは・・・、もう誰だか分かっているの?」

「ああ」

星利は一度深呼吸をする。

「どこにいるかも、何をしているのかも分かる。頭より体が先に動く馬鹿野郎だということも、仲間やまわりの人が傷つくのを何よりも恐る優しい奴だということも」

星利はまっすぐにザクラを見る。

「え・・・?」

「あまりにも大きすぎる役目と、逃がれられない宿命を背負いながらも生きていることも」

「ま、まさか」

どこか思い当たるところがあったのだろう、ザクラは大きく目を見開き、わなわなと震える。

「そうだよ、銀の人魚はあんただったんだよ」

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