第28話

---今しかない。

意を決した星利はザクラを見る。

「あ、あのさ」

「ん?」

「ごめん!夕方お前に怒鳴ったりなんかして!」

星利はガバッと頭を下げる。

「あー、あのこと・・・」

「様子おかしかったから心配してくれたんだよな?悪かった」

頭を下げたまま星利は言う。ザクラはそれを聞いて黙っている。

---殴られるか?蹴飛ばされるか?それとも嫌われるか?殴られたりするのは覚悟している。でも嫌われるのだけは・・・。

「すごく傷ついたよ?あんな言い方されて」

ザクラが言った言葉が星利にのしかかる。

---重い。

星利の体からは冷や汗が滲み始める。

「ごめん・・・」

顔を上げられず星利は頭を下げたままである。

「・・・分かった」

しばらく黙ったあと、ザクラが星利の肩を掴み顔を上げさせた。

「春風・・・?」

殴られたり嫌われたりする覚悟までしたのに、ザクラが顔を上げさせたことに星利は驚く。

「許すわ。こっちだってお節介だったかもしれないし」

「お節介だなんて、お前・・・」

「その代わり、なんであんな挙動不振だったのか教えてくれる?星利」

ザクラはそう言ってにこりと笑みを浮かべてみせた。

「は、はい・・・」

有無を言わせない笑みに星利はうなずくしかなかった。

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