第4話 謝罪
第27話
仲間たちから早くザクラと仲直りしろと、言われた星利は自室で悶々としていた。
---仲直りしろと言われてもなぁ・・・。さて、どう話しかけたらいいものか。
星利はランプの光が揺れる中ため息をついた。
---あいつのことだから、話しかけたら振り返ってくれるだろうけども・・・。
「・・・水飲んでこよう」
頭がいまいち動かないのと、気分転換も兼ねて星利はリビングへ向かうことにした。
部屋を出ると、ひやりとした風が星利を出迎える。
「さむっ・・・」
長袖のTシャツと薄めのズボン姿の星利は身震いした。空気が澄んでいるせいか、たくさんの星が漆黒の空に輝いている。
---早くリビングに行って水を飲んで、部屋に戻ろう。
星利はリビングへ向かって歩きだす。
と、その時デッキから物音がした。
「ん?」
星利はくるりと振り返り、デッキを覗く。
「あ・・・」
そこには、星利を悩ませている女、ザクラがいた。
「1!2!3!」
修行用の着物を着たザクラは、冷えた夜風に吹かれ汗をかきながら竹刀を振っている。
「あいつ・・・」
---昼間も筋トレして、夜も修行してんのか?なんか修行の時間増えてないか?
ザクラは満月の光に照らされ、修行用の白い服のためか白く輝いていた。その姿は、ザクラの身にこれから先に起きることもあいまって儚く見えた。
「春風・・・」
しばらくその姿に目を奪われていると、ザクラが星利に気がつく。
「星利?」
「わっ?!」
ザクラが振り返ったのに気づき星利は慌てる。
「どうしたの?」
喧嘩なんかなかったかのようないつもの口調でザクラは問う。
「い、いや、何も・・・」
「そ?」
ザクラは再び修行に戻る。
『早いとこ謝って下さい』
星利の頭の中で仲間からの言葉が再生される。
---どうする。
星利はぐるぐると考えて身動きがとれずにいると、再びザクラが振り返った。
「ね、やっぱりなんか用事ある?」
それは少しイラっとした口調をしていた。
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