第24話
「つまり、星利さんは昔、銀の人魚に助けられた。ずっとお礼がしたくて探していたら、それが仲間で想いを寄せる、ザクラさんだとわかったと」
「ああ」
星利は顔を両手で隠しうつむく。
「いやん、命の恩人が好きな人だったなんて、ロマンチック!」
仲間たちがきゃいきゃい騒ぐ。
「うるせえ」
「で、そのことがわかって、海救主の顔が見れないというわけだな?」
星利はうなずく。
「やだ、可愛い!あんた、そんなピュアなところがあったのね!」
可愛い可愛いと、星香は弟の頭を撫でる。
「やめろよ!」
「それで、ザクラちゃんに見透かされたわけだ?いつもと様子が違うって」
北斗が腕を組んでとどめの一発を言い放つ。
「うっ!」
「まぁ、ザクラは勘が鋭いからね。特に周りの人間に対しては」
「そうですね」
「それで、そっからどうしたんだ?ザクラちゃんのことを」
考えを述べては相手を攻め、最後の最後は本人に吐かせる。そんなえげつない方法をとった北斗はさすがというべきか。
「・・・春風にキレて、怒鳴りました」
仲間たちに問い詰められ、ライフがゼロとなった星利はあっさりと供述する。
「まぁ、なにを言ったか知らないけど、謝ったほうが良くないですか?」
蘭がビシッと正論を言う。
「そりゃそうだけど、そうなるとどうしてあんな態度をとったのか説明しなくちゃいけない。
そうなると、春風が銀の人魚だということを話さなくてはいけなくなる」
「でも、このままだとザクラと仲違いしたままよ?」
「潔く言ったら?謝罪も銀の人魚のことも」
「でも、あいつが覚えているかどうかだなんて分からない。どうすればいいんだ?」
女々しくうじうじと言う星利に周りはため息をつく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます