第四章「礼羽-Reiu」

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***




翌朝、昨日と変わらぬ美しい所作の妹が訪ねてきても、兄たちは驚かなかった。



 目の前でじっと下げられたままの頭をしばらく見つめ、


「……ご苦労だった」


と抑揚のない声で労いの言葉をかけた。


「ただ、死傷者が出たのは、いただけないな」


 続けて何の感情もこもらない声でそう言われ、


「……」


 妹は頭を下げたまま黙り込む。


 その手には、武器は握られていない。


 しかし、昨日用意されたばかりだった着物はどす黒い染みによって汚れていた。


「……薔崋」


 長兄は、一言も発さない妹をじっと見つめたまま言った。


「少し、話をしよう」


 妹は驚いて、弾かれたように顔をあげた。兄を見つめ返すその双眸は、不安げに揺れている。


 他の二人の兄も驚いたようだった。


 息をのむ弟達を振り向くことなく、長兄は相変わらず感情のこもらない声で、妹に言葉をかける。


「何でも良い。この七年のことや、昔の話でも。何でもいい。お前の話をきかせてほしい。何か、会話を」


「……」

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