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「瑛都様は、ご存じ……ですよね? 姫の三人の兄上方を」
「良く知っているよ。彼らに学問をつめこんだのは私だから。姫はご自分ですべて習得してしまわれたけど」
あっさり頷いて、でもねえ、と瑛都は言う。
「私が言ってしまうとアレだけれど、姫は本当に孤独なお方なんだよ。奥様以外、誰もあの方を愛そうとしていないように思える。それどころか、一部では死んでしまえばいいとさえ思われているようだし」
「……三人の兄君は、姫を嫌っているのですか」
「うーん。……そうでもないのではないかな。三男の信様は、二人の兄の手前、表立って姫と関わることはないけれど、彼女が数々の試験を終えた時にはいつもホッとしているような空気を感じるし」
瑛都はそう言ってから、
「次兄の礼様は……まあ、うん」
言い淀んで明言しないまま、さらに続けた。
「長兄の仁様は、皆が言うほど、次期当主の座なんて気にしておられないしね」
「……姫の、賢姫と呼ばれる要因である、あの知識の身につけ方ですが」
「うん?」
有李は再び読書を開始しながら、視線をあげずに言う。
「姫は、書に書いてあることを理解していたのではないと思います」
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