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「邪魔をするのですか? 修瓏有李」
柱の陰からスッと出てきた青年に、彼女は特に何を構える様子もなくそう言った。
白く細いその手には、鈍く光る刃が握られている。
「いや。俺は試験要員じゃないから」
有李はあっさり首を振った。目を細めて、わずかに笑ってみせる。
「ずいぶん頑張ってんだね」
そう言うと、目の前の少女は不快そうに眉根を寄せた。目に見えて疲弊している様子の彼女なのに、有李は隙がないと感じた。
「……何?」
「なにって、試験だよ。こんなもん、本当にただの『
薔崋はその無遠慮な言葉に笑う。気分を害した様子もなく頷いて、
「そうですね。兄やあの男にとっては、まさにそうでしょう。門下の者にとっては試験だとしても。あの人たちは少しだけそのつもりで、でも大方は私を始末できればいいと考えていると思います」
そんなことを言った。やれやれ、とでも言いたそうな口調で。
「……貴女は、変なところでアッサリしてるんだな。さっきは……最初は、逃げようとしたのに」
「……べつに。昔と同じです。あらゆる修行を与えて忍の子として育てようとはするけれど、どこかで死ねばいいと思っている」
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