2
「……お前は、なんだかんだと優しいふりをしているが、実は一番薔崋を嫌っているだろう」
仁の言葉に、
「あれ? 嫌ってはいないよー? ……まあ、好いてもいないけどね」
礼はおどけたように言って、けれど真意の読めない微笑をうかべた。
「僕はね、あの子の生き死にには興味がないんだ。殺されるなら殺されればいいし、生き延びるなら生き伸びればいい。……まあでも、確かに気に入らないところもあるよ」
くつくつと、笑って、
「仁兄上より頭が良いところとか、刀の才とかね。末っ子なんだから兄をたてろよとか思ったりは、するわけだ」
そんなことを言う弟に、兄は小さく息を吐く。
「お前は本当にタチが悪い男だな」
「そう? 僕は、あの子が仁兄上の邪魔をしないなら、干渉する気はないよ。……でも、あの子が当主になりたいとかほざいたときは、――消すけどね?」
「……」
長兄はやれやれといった様子でわずかに眉をしかめ、もう一度息を吐いた。
礼はそんな兄を見て、にこっと笑う。
「でも、出来れば殺したくはないな。あの子は本当に母上に似ているからね。殺すのはしのびないじゃない」
「どちらにしろ、あの子を見ているわけではないんだろう。母上に似ていなければ、お前の関心はむかなかったんだろうからな」
「あー、まあ、そう言えばそうだね。まあ、細かいことはいいじゃない。薔崋は実際、母上似の美人になったわけだから」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます