第三章「修瓏-Syuurou」

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「ぎゃぁあああああああッッ!!」




 妹がへやから出て行ってまもなく、邸に響いた叫び声を聞いて、次兄・礼は苦笑した。


「おやおや、すごい声だこと。僕らの妹姫は容赦ないねえ」


は手加減を知らん。恐らく死人も何人かでる。私は自分の武器を持つなとは言ったが、使うなとは言っていない。……門下の者の武器を奪って使うくらいはするだろう」


 長兄は読みかけの本に視線を落としたままそう言った。


「ああ、なかなか裏のある言い方をするよねえ、兄上は」


 礼はクスクスと笑って、


「……手加減ができないのは、僕らのせいかな?」


「何?」


「あの子は僕らに助けられた回数が片手で足りるほどしかないだろう? 助けてもらえないなら自分で何とかするしかないじゃない。小さかったあの子に、手加減ができると思う? 確実に息の根を止める方法しか、あの子は知らないんだよ」


「……あの子は強くならなければいけない。ただ一人、女が生きるために、強くならなければ」


 礼は、探るような目で兄を見た。


「兄上はさ。実は、薔崋を生かすのに必死だよね」


 礼の言葉に、仁はため息をつく。

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