12
護身用の刀は所持していたものの、あれは兄の言うところの「刀」ではない。
「そこでだ。門下の者たちからも、父上からも、とりあえずお前には腕慣らしをさせるべきだという話があってな。お前が再びここへ戻ってくるにふさわしいかどうかの『
そう言う長兄の表情は、少しも動かない。
無表情のままただじっと、妹を見つめた。
「どうだ、やるか?」
無表情のまま抑揚のない声でそう尋ねられ、薔崋は答える。
「……やらなければ、ならないのでありましょう?」
そう。拒否権などないのだ。
これは確認のための話。やることは最初から決まっている。一族の総意を拒絶する人間は、ここで生きる価値がない。生かされない。
「……ああ、そうだな。その通りだ」
仁はほんのわずか間をおいてから答えた。
薔崋は頭を下げて礼をとり、続きを促した。
「では……その内容を、お聞きします」
「これより明日の朝まで、お前は自分の所有する武器を持ってはいけない。その間、本家や門下の所属に関わらず、お前を試す。刻限は明日の日の出まで。終わったらここへ来い」
「……はい」
「要員として出すのは二軍の者だけだ。お前にとっては、腕ならしだと思うが」
「……はい」
薔崋の返事からは感情は読み取れない。
すると、クスクスと礼が笑った。
「仁兄上はひどいねえ。僕らの妹は戻ったばかりじゃないか」
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