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この一族の血をひいて生まれた子どもは例外なく、知識や順応性を身につけるためという名目で『外』の一般人に預けられる。
その期間もまた例外はなく、一年と決まっている。
わずか一年しかないその理由は、血縁でもない見知らぬ忍の子を預かるというだけでも周りの目を気にしてしまいそれ以上は引き受けない人間が多いということと、預ける側である一族も貴重な血縁者に早く技能を身につけさせたいためにそれ以上は『外』においておけない、というもの。
『外』に出す歳はそれぞれ異なるが、本家『修崔』の子どもは八つになると一年間屋敷を出る。
約束の日がくると、預けた家に一族の迎えがやってくるのが常なのだが、ある年、一族の人間が本家の子を預けた家に行ってみると、その家はもぬけのからだったということがあった。
しかし当然のように、外に預けている間も一族の監視の目は常に存在しており、その家の行方はしっかりと把握していた。
その後、その家は七年も各地を転々としており、一族はそれを、常に場所を把握しながらも手を出すことなく面白がりながら見ていた。
だが、それも七年が限界だった。
預けた子が十五になってしまったからだ。
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