第二章「修蒼-Syuusou」

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 広い広い海の上、小さく浮かぶ島国があった。



 玄国げんこく



 時代は、玄国史上もっとも賢君といわれた王のおさめる、流璃りゅうり二十年。



 この国には、はるか昔から王族に仕え続ける忍の一族が存在していた。



 『修蒼しゅうそう』。



 一般の民にはその存在が伝えられることはなく、玄国が滅びる日まで、歴史の表舞台にその名が流れ出ることは一度もなかった。



 一族は、本家の『修崔しゅうさい』をはじめ、『修』の字をもつ姓を与えられる。



 本家の下には三つの分家が存在し、それぞれ『修瓏しゅうろう』、『修湖しゅうこ』、『修央しゅうおう』の姓をもつ。門下の者は適正をみられ、それぞれの家の門下生として配属される。



 『修瓏』は頭脳に秀でた、戦略を主に担当する者が配属される。



 『修湖』は正統派の武術を身に付けた、正統勝負に強いとされる者が配属される。



 『修央』は頭脳よりも正統性よりも、ただ末梢抹殺する仕事に適している者が配属される。

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