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 動きにくいのは当たり前だ。


 これは「普通の少年」用の服であって、決して、『お役目』に使われる服ではないのだから。


「っ!」


 なすすべもなく体勢をくずした薔崋に、鈍く光る刀身が迫る。


 迫る、『死』の恐怖。戦慄。


「……っ!」


 護身用の小ぶりの刀をとっさに抜きとり、薔崋は刀身をかろうじて受け止めた。


「……へえ」


 自分を襲ってきた影が、ばかにしたような声でつぶやく。


「……はーっ……はーっ」


 もう何年も感じたことのない恐怖に、薔崋の体が一気に冷える。


 どくんどくんと、心臓が脈打つ音がやけに大きく聞こえた。


「っは」


 はあはあと肩で息をしている薔崋をながめていた影が、男がわらった。あざけるような、冷たい声で。


「ずいぶんと、腕がにぶったんじゃないのか?」


「っ……?」


 聞き覚えのある声だった。

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