夏休みの部活動

第5話

うちの高校の美術部はゆるい。

部活をやりたい時だけ来てやればいいみたいな自由な感じだし、いつも頑張ってる人はあたしくらいしか居ない。


自分以外はのんびり好きなようにやっている。


何か想像していた部活動の雰囲気と違う。そこまで皆真剣じゃない。



細谷先生は性格が優し過ぎる故に部活を強制しない。


そのせいか、2年生も3年生も部活に毎日は来ない。気楽に、のびのびとやってもらった方が作品がより良くなると先生が言っていた。


確かに毎日来ないわりに、部員が描いた作品の出来栄えは良い。



1年のメンバーはあたし以外皆おちゃらけている。自分を含め4人居る。

男子1人、女子が3人。


それなりに絵は描けるみたいだけど、普段からやる気がなく、部活に来てもお菓子ばかり食べてる。


皆あたしと違うクラスだから、あまり親しくない。


それに美術部に入ったのだって1年生は必ず部活動に入らなければならなかったから、しょうがなくだと聞いた。いい加減だなとイラッとした。


全く話さないこともないが、部活の時間に集中して絵を描きたいから友達なんて居なくてもいいと割り切ってた。


放課後の部活の時間、夏休み前日。


部活も休みになるのかと、先生に聞いてみる。


夏休みも一応、月、水、金曜日に部室を開けておくから、もしよかったらと来てほしいと言われた。


長い休みがあっても、特に行きたいところもやることも、絵を描く以外になかったから、夏休みのほとんどを部活に費やそうと考えた。


何よりも絵に情熱を注ぎたい。

その為なら時間はいくらでも。

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