第3話
僕が、木村さんを好きになったのは今年の4月。同じクラスになってからだ。
木村さんは、美人だ。
正直、タイプだから好き。それだけ。
あとは存在感が人一倍ある子だと思ったから。
木村さんには彼氏が居る。それも学校で不良として有名な
川谷は隣のクラスだけど、よくうちの教室に来る。
長めの金髪で後ろに束ねている、木村さんの隣りに居ると本当にお似合いだ。
どうやらケンカが強いらしく、彼には皆逆らえない。
川谷に木村さんを好きなことが知られたら、きっと半殺しにされるだろう。
ましてや僕の秘密なんて知られたら……
僕の秘密は2つある。
1つ目は木村さんの私物を盗んでいるということ。
最初に盗んだのは5月のゴールデンウィーク明けてからすぐのこと。ほんの出来心で彼女の持ち物を見てみたくなったんだ。
理科の移動教室の時間で、誰も居ないのを見計らってバッグを探り、タオルハンカチを見つけた。
花柄の、カラフルなハンカチ。
木村さんのもの。
その時初めて匂いを嗅いだ。
柔らかな甘い香りがした。
僕は彼女のものがたまらなく愛しくなって、返す気が失せた。
だから、自分のスクールバッグの中に入れた。
それからというもの、タイミングが合えば木村さんの私物を盗るようになってしまった。
書きかけの数学ノート、友達とのプリクラ、使いかけの消しゴム。
タオルハンカチに付いていた木村さんであろう髪の毛も大切にとってある。
ジッパー付きのポリバックに入れて、自分のコレクションにした。
何故、盗んでいるか。それは僕が彼女を欲しているからだ。もはや、その気持ちは自分でコントロール出来なくなってる。だから、彼女の私物をちょうだいしている。
これが僕の密かな趣味。誰にも言えない僕なりの彼女への愛。
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