第79話

18.蓮伽さんを護る者たち、蓮伽さんが護るもの









蓮伽さんもきっと極限なはず








「食べてからにしましょう!」の声がかからない








あぁ、気が遠くなりそうだ






薪を見つめる、俺








「・・・・くん、深澤くん?!」






ハッ!呼ばれてる!!









「蓮伽さん、どういう?」





「だって、私達が呼ばれた意味を思い出して?」





・・・・・・・・




・・・・・・・





・・・




「ヤダ、深澤くんしっかり!中居さんは、香取さんのやっている事を止めさせたい。これは変わらないはず、ですよね。」








「・・・・えぇ、そうなの。香取を元の通りにしたいし、これ以上悪い事するのを止めさせたいの。」





「だから、ちょっとの間、結界を張らせてもらったんです。」







「結界?・・・・」








「中居さん、しばらくは香取さんとは連絡が取れません。あなたを香取さんから隠していますから。

その間に、一度クスリ抜きましょう。強いの吸い過ぎて、自分を見失っている。」





「大丈夫よ、私、ちゃんとしているわ?だから、結界は外して?」







もう、前回来た時の中居さんはここにはいない。






「ごめんなさい、外さないです。しばらくの我慢です。中居さん香取さんを守りたい、元に戻したいって、言ったじゃないですか?

あの時の中居さんとの約束を守りたいから・・・私は、子どもと離れて今、ここにいる。大切な子どもとの時間をあなたに使っている。

それがわからないアナタじゃなかったはず。これ以上、あなたを嫌いになりたくないから・・・・落ち着いてください!」






蓮伽さんが怒っている







〈ヤバいぞ、怒りの感情が増えている、大丈夫かな・・・お腹も空いているし、マズいぞ・・・・〉










「結界外しなさいっ!!!!!!!!」







中居さんが、蓮伽さんにつかみかかってきた










瞬間、頭の中に優しい声が響いてきた








【舞翔、護りなさい・・・・今の蓮伽ではカノジョを抑える事ができないはず・・・あなたに宿るチカラは蓮伽を護る為にあるのですよ】








〈宿るチカラ・・・・?何だ?〉







「中居さん。蓮伽さんから離れてください。今、蓮伽さんの負のパワーを開放すると誰も抑えられなくなる。」







気が付けば、僕は蓮伽さんと中居さんの間にいて中居さんの手を掴んでいた








〈・・・・・俺、こんなにたくましかったっけ?!〉







「離れて。」







中居さんは、たじろぐ形で離れた







「ありがとう、何だろう・・・あまりパワーが出なくて・・・」






見ると、蓮の花が薄くなっている





〈珍しいな・・・さっき・・・・交わったはずなのに・・・〉





また、声が入って来た





【いつも使いこなす結界より強めの結界になっているのですよ。邪気や毒気を抜く特殊な結界です。本人の使える気を最大限、結界に使っているわ。

今、交わる事は出来ないから・・・・】




〈当たり前でしょ?!(笑)そもそもこの声誰?・・・・〉





「深澤くんのバカ(笑)れんな様よ(>_<)」





・・・・・・





・・・・・・






「?!・・・そっか!どうりで聞いたことあると思った・・」





「もう!!」






蓮伽さんの怒りの気がふつふつとしている





〈マズイ・・・〉





「大丈夫?蓮伽さん、痛いとこは?」


「ありがとう、平気・・・私のチカラはどうしちゃったの?」


「思ったより、今の結界に使っているみたいだよ。」


「・・・・そう、じゃあ、ここまでね。食事も取っていないし、余計か。」


「そういう事。食事しよう」







中居さんが落ち着いている。





・・・・・






・・・・・





空を見上げると、中居さんへ光が差し込んでいる。







「龍神様とれんな様だわ。助けて下さったのね・・・・」



「ありがとうございます・・・!」








「今、中居さんが穏やかなうちに食事しましょう。とても食材もいい物なのだから食べましょう!稲垣さんの門出でもあるのだし」


「そうね、お腹が空きすぎて今日は疲れたわ」







中居さんの結界は強いのか、落ち着いている








僕は食事の準備を仕上げた。







厳かになってしまった雰囲気の中、食事を楽しんだ。












・・・・・・・・・・







蓮伽さんは食事を取り、怒りの気が収まっていた







〈蓮伽さん、アンパン〇ンみたいだな(笑)お腹が減ると力が出ない(爆)〉






・・・・・・






稲垣さんからの視線を強く感じる・・・・






・・・・・・・・・・・






「あの、深澤さん・・・」



「はい?」



「さっき、深澤さんが岩本さんをかばった時に、深澤さんに龍が巻き付いていたのですが・・・・気づきました?」




「えっ!それ稲垣さんホント?!」






なんだか蓮伽さんは嬉しそうだ





「えぇ、空からフワッと来て、深澤さんに巻き付いていて・・・幻想的だなと思って見とれていたんですけど」





「そうなんですね・・・僕自身は自覚が無いんですけど・・・・」






稲垣さんが笑顔になっていた






「お二人を見ていて、決めたんです。中居さんから離れて一からやり直そうって。これからは、男性ともしっかり向かい合っていこうって。」






〈稲垣さんが男性を苦手になったのは近親者からの被害にあったからと聞いている・・・・〉





「稲垣さん、大丈夫。これからはちゃんと自分を大事に、クスリはダメよ。」



「はい。色々とありがとうございます。」



「本社へくるのなら、私達とも近くなるし定期的にお手伝いできそうだから良かった!」



「これからもお付き合いして頂けるんですか?」



「もちろん!本気でクスリを抜きたいならいい考えがあるから」





???



「もしかして・・・」


「祈龍の家に預けようと思って・・・」


「それはいいですね」


「中居さんもそうできる事を願うわ」






・・・・・蓮伽さんはずっと焚火を見つめていた








長い一日が終わろうとしている







珍しく疲れが出ている横顔をしている









それでも、・・・・・蓮伽さんは綺麗で
















あぁ・・・・・早く、満たしたい

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