第71話
12.聞き取り10人と稲垣さんの異変
病院へ着くと、稲垣さんにお願いして蓮伽さんは会議室を借りた
あらかじめ、稲垣さんから貰っていたデータを整理してあった僕はモニターに映し出した
「深澤さん、これは・・・・・」
中居さんの問いに、
「病院に入院している方の住所、氏名を警察の方から昨日、聞いておきました。」
少し得意げに応える
〈蓮伽さんに褒めて欲しくて・・・・とは、恥ずかしくて言えないけど・・〉
チラッと蓮伽さんを見ると、こちらを見て微笑んでいた
〈おぉっ.....あの笑顔・・・・胸が苦しい・・・早く夜にならないかな(照)〉
僕はいつもいつでも蓮伽さんの事だけ。
「手際がいいのね(笑)」
「もちろんです、蓮伽さんと話していて病院にいる人の事をまず片づけたいと言っていたので。リスト化出来たらと思って」
「素晴らしいわ、でも最初職場で会った時はこんなに頼りがいのある人だったかしら?」
そう、その時はポンコツだったけども
「そこは・・・・否定できないですね。」
笑いに包まれる
「愛のため・・・か、くすぐったいけど羨ましいわ(笑)」
「ふふっ、ありがとうございます。一見、彼が私に・・・に見えますが、違います。多分私の方が彼を、だと思います(照)」
「そう、なの?!」
中居さんはびっくりして目を見開いている
「本人は、自分の方が好きだと思っていると思いますけど・・・その方が面白いので彼には内緒にしています(笑)」
ホントの事で、きっと私の方が深澤くんなしではダメなのだ
「岩本さん、幸せそうね」
「はい、幸せです。中居さんもそうなるんですよ、全部スッキリしましょ(笑)」
そこへ稲垣さんから、声を掛けられた
「私は、一旦これで失礼いたします。・・・・・・お迎えにあがりますのでご連絡ください。」
「ありがと、後で連絡するわ」
一礼をすると、稲垣さんは先を急ぐように会議室を後にした
・・・・・・・・
・・・・・・・
「中居さん」
「ん?何かしら」
「最近、稲垣さんに変わった所は??」
「・・・・・。」
「あるんですね?」
「・・・・・気づいたのね?」
「えぇ、深澤くんが。深澤くん!」
準備している深澤くんを席に戻した
「さっき、話してくれた異変をもう一度話してくれる?」
「・・・いいんですか?・・・わかりました」
僕は稲垣さんの感情の揺れの幅の事と、稲垣さんからふいに匂った香りの事を話した
神妙な顔で、中居さんは頷いていた
「・・・・そうなの、私も最近おかしいなと思っていて・・」
「特にどんな時ですか??」
「・・・・・」
「?」
「・・・・夜。ベッドの時じゃないですか?」
「・・・・・えぇ.....今までと違う感じで....感情ももちろん起伏が激しいのだけど、果てる寸前と果てた時が異常なくらいで・・・」
僕は、言葉の羅列に欲情してしまった
〈ヤバい、興奮してしまっている・・・・・あぁ、早く蓮伽さんに触れたい(汗)〉
蓮伽さんは僕の欲情に気づいたようで、思い切り股間を握った
「?!・・・・いっッたっっ!!」
「ど、どうした??!」
中居さんはおろおろしている
「あ、大丈夫ですよ!ちょっと、気合をいれただけですので(笑)」
「あぁ・・・おかまいなく(泣)気合を入れてもらったので」
お仕置きをされてしまった
「話し戻しますが、稲垣さん甘い香りしませんか?」
「んー、匂いはあんまりわからなかったけど・・・・何?」
「えっとですね、、、」
「稲垣さん、クスリやっているのでは?」
結局、蓮伽さんが告げる形となった
「・・・・・・・えっ?」
「私は、匂いを嗅いでいないからわからないのですが、状況からいくとクスリではないかと思って」
「そんなまさか・・・・」
中居さんはうなだれた
「大丈夫ですか?」
僕が声を掛けると
「・・・・・・・やっぱり、そうよね、私も薄々はそう思っていたんだけど。あのベッドのテンション、普通じゃなくて」
「心あたりはないですか?入手先の可能性とか」
中居さんの顔が青ざめていく・・・・
「・・・・・心あたり・・・・ないわ」
「では僕が調べますね」
「お願い、稲垣がボロボロになってしまう前に・・・助けないと、私のせいよね・・・」
中居さんは嗚咽に似たような鳴き声を漏らした
「ご自分のせいだと思うのなら、救わないと、必ず。大丈夫。」
中居さんは頷きながら、腫れ始めている目をまぶしそうにやっと開け、データに目を通し始めた
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
――――――――――――――しばらくの時間、病棟から来てもらい、一人一人に話を聞いた
どうやら、この世の事だけでは解決は出来なそうだ
〈また、蓮伽さんの消耗が激しくなるのか・・・〉
わかってはいても、愛しい蓮伽さんが心をすり減らして行うものは僕の心も苦しい
でもやっぱり、今回のような件は蓮伽さんがいなければ解決ができない
・・・・・ジレンマ。
本当は誰の目にも触れることないように閉じ込めておきたい。
〈それは、いいかげん狂気的〉
「ふぅ、全員終わりましたね」
「疲れた~(>_<)」
「さすがに疲れるわね、マイナスの波動は」
「パターンが何個かありましたね」
「そうね、中居さんにとっては辛い聞き取りとなりましたが大丈夫ですか?」
「大丈夫よ、稲垣の件に比べたら」
「そうですね(笑)」
蓮伽さんと僕はもう笑ってしまうしかなかった
「データを入力しましたのでモニター見て下さい」
【Aさん:香取さんとのトラブル:痴情から→中居さん】
【Bさん:中居さんお家事情・・・・】
・・・・・・
・・・・・・
「・・・・・・・・・・・から、・・・・・で、こんな感じです」
10人、データが揃った
家同志の確執が一件、約半分くらいは香取さんへの気持ちを利用されていた人、残りが中居さんに直接マイナスの感情を持っていた人だった。
「中居さん・・・・・この結果はどう思いますか?」
「んー、しっくりは来ないのよ(笑)知らない人もいて。知ってる人は心当たりが・・・・」
「あるんですね?」
「・・・・そうね、過去を知られるって結構クるわね(笑)」
「(笑)そうですね、いい過去ばかりではないですもんね」
「今回、中居さんにとってはしんどい事の方が多いと思いますが、それらを共有する覚悟はありますか?」
僕は尋ねた
「・・・・・・深澤くん、今更よ。覚悟はできているから。これらは自分で蒔いた種だもの、刈り取る責任が私にはある」
「そうですね、刈り取るお手伝いしますよ」
蓮伽さんは温かく微笑み、
中居さんより先に僕が癒されてしまった
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