第63話
7.中居さんの揺れ動くもの
「そんなにしっかり笑うと気持ちいいわね」
「ふふふっ、ゴメンなさい。私は中居さんのような感じで人と接する事はしないですけど、ハッキリ言うのは良い事ですから(笑)」
「あら、そう?」
「ですが、ハッキリ言っても配慮は必要だと思うんですね?
中居さんは感情が動くのが激しい傾向ではあるので、恨みを買いやすいですよね・・・あ、もしかして中居さんの闇はこれかー!!」
「・・・・闇??」
「中居さん、心の奥の方に闇があります。潜在意識に近いかな」
中居さんは苦笑いした。
「困ったわね、私丸裸になるかしら?岩本さんには何が視えているの?」
「少なくとも、闇を抱えているのはわかります。」
「闇ね・・・・・」
「中居さんに闇があるのは特殊なこの環境にありますよね」
「・・・・」
中居さんから、笑顔が消えた
相変わらず、蓮伽さんは鋭い
「恨まれる理由として、この地域の権力が、全部中居さんのお家に集まっていることです。」
「・・・・なるほど、それをまず解決しないといけないのね」
「そうですね、それで低級なものは成仏とともに除霊ができると思います。」
「ここを救いたいなんておかしいわね、私に原因があるのに。でも、報いよね」
「そうかもしれないです、でも、気づきがあるのならやり直せますから」
「まずは、一度に鎮静されるために、リサーチが必要です。誰なのか」
「誰か特定ができる?わけ?」
「できます(笑)」
「どうやっ・・・て?」
「んと・・・・私には中居さんと繋がっている縁が良いものも悪いものも細い糸みたいなもので繋がって見えていまして・・・」
「す、すごい!」
僕は思わず、蓮伽さんの顔をじっと見た
改めて気づく、蓮伽さんの異能力を懐の大きさ
彼女は救おうとしている
そして、僕の蓮伽さん(気持ちの悪い発言)は出来る人だ
「いつも見えているわけではなくて、スイッチを切り変えると見える程度です。」
「・・・・・あなたは異能力におごらず高めるために努力をし人の為に使って来た。私は、努力を怠ったのね」
「どうでしょうか(笑)人は立場によって考え方も、思う事も行動も違いますからね。何か、理由もあるでしょうし・・・
でも、やり直しもできるので、何かを変えたいなら中居さんも出来るはずですよ。」
稲垣さんの目には涙が溜まっている
「それと、香取さんの念がやっぱり大きいんですけど・・・・」
蓮伽さんの顔が悲しげだ
「ネガティブな念、だけじゃないんですよ・・・・愛情もたくさん残っていて、それが転じて悲しみとか憎しみに繋がってたりする・・・
感じると私も胸が苦しくなるくらいに」
中居さんが声を上げて泣き出した
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
蓮伽さんは何も言わず、静かにそこに座って中居さんを見つめている
稲垣さんは、一旦デッキへ出た
この混沌とした空気の中で、蓮伽さんだけは穏やかな顔でお茶を飲んでいる
「深澤くん、キツい?この空気」
「そうですね(笑)僕は、この空気に飲み込まれそうです。でも、蓮伽さんから出ている空気にみんなが包まれているように見えます。」
「少し、見えるようになったからそれも見えるんだね」
「そうですね、いい事なんだか(笑)」
「あら、いい事よ、空気が読めるという事は(笑)今ね、浄化の時間なの」
「浄化・・・・」
「泣くだけでもいいんだけど、彼女のカルマとか、憑いているものとかを私の放つもので浄化してる。」
「だったら、稲垣さんもこちらに呼び戻した方が・・・」
「大丈夫よ、稲垣さんもちゃんと浄化の範囲に入っているから(笑)」
・・・・素晴らしすぎて、抱きたい
愛おしい。
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