第61話
6.中居さんの『もの語り』
「稲垣、あなたはこれからの時間席を外しなさい。」
中居さんは、稲垣さんの心境の変化をちゃんと読んでいた。
「稲垣さん、苦しそうですもんね・・・・」
と、僕は後に続いた
「ううん、一緒にいた方がいいと思う、みんなでいる時の方がきっと色んな事聞きやすいわ。知りたかった事を知るのにいい機会だと思うの。」
蓮伽さんが言った
「・・・・・そうだけど、無理にこの世界に入る必要は・・・」
「いさせてください。苦しいのかもしれないですけど、知らないよりはマシです。」
「岩本さん、大丈夫?稲垣がいても。」
「もちろん。一人でモヤモヤしているより、知った方が覚悟出来ていいと思います。」
—―――――――――前回来た時に聞いたいくつかの話が詳しく話され、新しい話も織り交ぜられた。
「中居さんは、上位の家系でありながら香取さんとの関係を続けていたということですよね?」
蓮伽さんは微妙な顔をしている
完全には態度に出していないが、納得していないように見受けられた
「そうね、規則を破って付き合い、逢瀬を重ねた。だから、完全には、異能力を発揮できない部分もあったのも事実。」
「それを知っていた人は?」
「・・・・・知られたつもりはないのだけ.....」
「私は、、、私は直接中居さんからは聞いていませんが知っていました。残念ながら、割と知られていたと思います。」
「・・・・・そうなのね。・・・・
鍛練を積まなければいけないのに色情に溺れたの。そして、私の祖父に引き離されて罰せられたのは階級の低かった彼だけだった。」
「あ、それで。」
蓮伽さんは何度も納得をしている。
「中居さん、この辺に集まっている低級なものは中居さんの家系に対してや、おじい様への怨恨だけではなさそうです。見えないですか?」
「・・・?ごめんなさい、わからないの。ものすごく下位のモノだってことはわかっているんだけど・・・」
「蓮伽さん、わかっているんですよね?」
僕は問いかけた
「・・・ん、中居さんへの念がとても強い。ご先祖への念ももちろんあるんだけど、中居さんに対して直接っていうのが強いのよ。」
「・・・・蓮伽さん、回りくどくてわかりにくいです。わかっている事全部言っていいと思います。じゃないと、先に進めない気が・・」
「そうね、気遣いは無用よ、ハッキリと言って大丈夫。その為に、お二人に来てもらっているのだから。」
「・・・・そうね、そうしましょうか。」
意を決したように、話しだした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます