第60話

5.トゥスクルのコンプレックス






「何て言うのかしら・・・・華やかね、そもそも。」






中居さんは、言った






蓮伽さんは、自分から声を発さず、中居さんの次を待っている






無理もない。





トゥスクルは歴史的に一癖あるからだと、僕は考える。








「属性が元々違うわよねぇ・・・、何というか、シャーマンは陽なのよね」


「そうですかね?あまり気にした事はないけど・・・」


「うん、メジャーっていうか・・・」


「あー、メジャー・・・一般的に知名度があるのはシャーマンですよね。きっと、歴史が違うんだと思うんですけど。」




蓮伽さんはゆっくり話しだした。





「その土地の歴史によって、視えないものがどう使われて来たかって違うじゃないですか?後、民族的なものとか・・・トゥスクルは民族色が濃いんですよね。」





「確かにそうかも、うちの地域って閉鎖的よね・・・多分、先祖がそんな感じだわ、ね、稲垣。」


「そうですね、元々、本土と離れているので感覚がどうしても狭いのかもしれないですね。」






「・・・そういうのって、変えられると思う?」



「・・・私は、変えられると思っていますよ。難しいですけどね、人の心を他人が変えるって。でも、自分自身を変えるのは心持ち一つなので変えられる・・

と思っています。」





中居さんは穏やかに微笑んだ




「岩本さんのそういう所に、慈愛を感じるわ。あなたはきっと誰に対しても大きいわね。」






これ、地域性なのだろうか?

人間性なのでは?





と、僕は思っている





「深澤くん、私にだって影の部分あるし闇だってあるのよ(笑)いつも温かく受け入れられるわけじゃないの(笑)」





ん?読まれた・・・か?






最近、蓮伽さんが覚醒している気がする






〈僕との交わりに関係あるのかな・・・・〉





「中居さん、香取さんを知りたいのですが・・・・」


「・・・・そうね、今日はそれがメインよね。」





稲垣さんの顔に影が差した

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